プレスリリースのやりかた
このページは個人・中小企業にも役立つプレスリリースのやり方を「新サービスや新商品のリリースする場合」を例にして解説しています。
本記事で公開している内容および資料の無断転載と商用利用は禁止です。
ただし、自社・自身でプレスリリースをする際にお役だてするには一向に構いません。
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概要
プレスリリースとは主にメディアに事実を報せる行為です。
「**新発売!」とか「**キャンペーン開始!」とか「株式会社**と事業提携のお知らせ」、或いは「代表取締役**解任のお知らせ」とか「業績下方修正のお知らせ」なんていうのもそれにあたります。自社サイトなどにニュースリリースとして掲載のケースもあります。
はじめてプレスリリースをする9割の方は「リリースすれば記事になる」「取材される」と思いがちですが、記事・取材に繋がるとは限りません。掲載の可否や取材の決定権は全て、受け手=メディア側にあります。
ちょっと嫌な話ですが、高い社会的信用や知名度のある法人・個人のリリースであると「どうでもよい内容でも」記事になります。それでは、そうでない方がプレスリリースにより脚光を浴びる機会を得るには?ここに焦点をあててその要素をきちんと記述していきます。
今はWebフォームからの投稿、あるいはメールでの送付が一般的です。(以前は手紙・FAXでしか受け入れないメディアもありました)理由は至ってシンプルで、コストと手間が大幅に削減できるだけでなく、メディア側からしても迅速に情報が届き、原文をそのままコピーできるためです。
多くの中小企業では、明確に部門として「広報部」が存在しません。これまで関わってきたクライアントは、営業部や総務部の方が兼任しているケースが7~8割を占めておりました。なんとなく…で広報部門を担っているものの、プレスリリースについては情報と知識が皆無であるため知らせ方も知らせる手段も知らせる先もわからない団体は多いのです。プレスリリースの最大のメリットは「露出機会を自ら開拓でき、広告と異なり原則として掲載費は生じない」ことにあります。
原稿はいくつ作るものか?
原稿は1つ作って複数メディアへ送付可能です。ただし、一般・専門メディアと同時に送付する際は2つ作ることが好ましい場合もあります。
例:
- 一般紙…誰にでもわかる文言を用いた一般向け原稿を作る
- 業界紙…専門用語を用いた濃度の高い原稿を作る
そもそもプレスリリースを送付することは迷惑なのか?
NOと強く言います。情報提供者に対して高圧的な姿勢を示す残念なメディアが一部あるのも事実ですが、メディアは情報がメシのタネです。そのメシのタネを進んで提供してくれる方を邪険に扱うなんて論外です。精神的な話になってしまいますが、そういう「ハズレを引いても」気にしないでください。
SNS拡散依存は微妙
SNSはフォロー・リフォローという特性上、同じ分野や興味のある人間関係で構築されます。その界隈においては有益な情報が流れてくるものの、専門性のあるメディアとして活用するならともかく、広く一般の方へ拡散する、目に留まるための手段としては期待できません。
[プレスリリース 代行] で検索するとプレスリリース代行サービス会社が出てきます。不慣れな方でもプレスリリースの「原稿作成、配信先ピックアップ、配信、効果測定」まで一貫して行ってくれる便利なサービスです。1回の配信費用は3万円程度が相場で、Twitter連携などオプションがあると料金は増えます。
配信後、ほぼ「提携」メディアなどに掲載されます。提携と言っても、自社運営のサイトを含みます。全国紙の新聞や、有名どころのWebサイトに掲載の保証はありません。
1.で述べた通り、根本的にメディア側へ掲載の決定権があります。掲載されるかどうかはYES/NOと端的に求めることは残念ながらできません。とはいっても、大抵メディア関係者の方はウォッチしています。掲載の有無はともかく、プレスリリースの内容を見られるという意味では見込まれます。
但し、プレスリリース代行サービス会社の一番の問題は、利用するに法人格を有することが必須なところが多く、利用のために独自の審査が入るのがほとんどです。初回に配信するには数日かかります。逆に言うと、個人や複雑な体形である団体の場合、エントリーすらできないのです。
完全に宣伝ですが、当サイトでもほぼ同等のサービスを提供しています。先述の大手代行サービスと異なり、法人でなくても対応です。規模の小さい団体や個人でもあっても、優れた商品やサービスは作ってますからね。もちろん、胡散くさい・怪しい・法に抵触する(含:恐れのあるもの)案件はお断りしています。
<主旨>と<構成>で掲載可否の判断をしています。
<主旨>
原則として、以下の4つを求められます。
<構成>
メディアが求めるプレスリリースはおおよそ形式が決まっています。
- タイトル(記事のタイトルにそのまま使われます)
- 概要(見出し、サブタイトルに相当します)
- 本文(今回報せる内容と、情報発信者の概要などを記載)
- 参考資料(画像、動画URL、pdfなど)
が基本です。
まずは以下のとある日のYahoo!ニュースの画面をご覧ください。
図: Yahoo!ニュースの画面(引用:Yahoo!ニュース)
赤枠内で得られる2つの情報を分析します。
1つ目「17:33に得られた情報である」
[解説]
エクセルの時刻数式dd:hh:mm(日、時、分)で例えると、画像のようにmmがキリのわるい時刻の場合、即時リリースされ反映した内容であると判断ができます。mmの箇所が00や30などキリのよい時刻の場合、時刻指定でリリースされた情報である可能性が極めて高いです。(もちろん、偶然にもキリのよい時刻で即時反映した場合もあります)
[余談]
企業の不祥事に関するリリースは週末金曜日の17:00以降が多いのです。多くの企業は表向きは週末が休みです。週明けまで問い合わせ対応の時間が稼げること、証券取引所の営業時間外になり株価への影響を抑止する狙いがあります。
2つ目「情報のソースは共同通信から得られたものである」
[解説]
実はYahoo!ニュースには専属の記者はいません。Yahoo!と提携している共同通信から送られた内容を反映しているにすぎないのです。(原則、画像の様に情報元であるメディアが記されています)つまり、Yahoo!ニュースは提携先の情報を掲載するため、Yahoo!へ直接プレスリリースする意味はないということになります。
話をメディアの構造解説に戻します。上の2つを踏まえると、厳密には「Yahoo!ニュースに載った!」と言うよりは「業務提携している共同通信を経由してYahoo!ニュースに載った!」が正しいわけです。(ややこしいし、誰もそこまで言及しませんのでどうでもいい話ですが)
言いたいのは、世の中にあるメディアは案外横のつながりがあり、メディアAに送るとメディアB、Cにも届く構造になっているということです。ピンポイントで「**に掲載されたい!」という考えは持たないようにしてください。
では、どういった手順でプレスリリースを行えばよいのか?
『送付先のベクトルを考える>原稿を書く>送付先リストを作る>送る』これだけです。
ただし、1.~6.で述べた事項を網羅しつつ作業となりますので、慣れるまで相当時間がかかります。
原稿を作るときは、
- 誤字脱字はないか
- メディアの求める構成要件を満たしているか
- リーガルチェックはされているか
送付先リストを作るときや配信のときは、
- リスト先に著しくリリース内容と無関係なメディアは含まれていないか
- 送付先の社名、メディア名、部門、氏名は間違っていないか
- 送付の宛先は重複していないか
など慎重を要する作業が挙げられます。
ここまでが、概要の説明でした。
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実践
自社あるいは自力で送付する際は、以下を準備・使用方法を把握してください。
Word
[解説]
保存形式はdoc形式を原則としてください。docxだと開けないメディアもあります。中身がよい原稿でも、手を煩わすデータなら即捨てられます。
一括配信メールソフト
[解説]
Gmailなどで送信もできますが、件数や容量の制限がありますのでMail Distributorなどのフリーソフトの使用を推奨します。
アップローダー
[解説]
ファイル添付が不可能だったり数量に制限のあるメディアへ送付する際に使用します。ギガファイル便などで問題ありません。アップロードの際はパスワードの設定を忘れないでください。
画像
[解説]
jpg形式、高画質、幅700px以内でリリース内容に沿ったものを3枚~4枚程度。
詳細は後述しますが、原稿内の画像は「挿入位置の目安」となり元画像はメディア側でリサイズされます。従って元の画像データが小さいまま、という事は避けてください。
参考動画
[解説]
一般的な方法はYoutubeへアップロードです。広告設定は除外してください。動画の不要なリリースもあると思いますので、ここは必須ではありません。
公式Webサイト
[解説]
商品やサービスの特設サイトがある場合、可能な限りURLを確定しておいてください。リリースの際に原稿へ記述&公開されていれば問題ありません。
例えば、小学生向けのWebサイト公開のリリースをどこにするか?
IT関連メディアや教育関連のメディアあたりを想像されたのではないでしょうか。残念ながら、これだけでは数える程度のメディアしか見つかりません。
そこで、直接的な流入だけでなく間接的な流入も視野に入れます。事業者の活動拠点が埼玉県だとしたら、地元のローカルTV、ラジオ、フリーペーパー。さらに、親世代のメディアや小学生向けの雑誌の出版社、各地域の教育委員会なども宛先に加えられます。(論理的に考えてどうやっても関連付けできないカテゴリを強引に取り込むのは避けてください)
目的は、掲載確率を少しでも上げる事です。掲載されたいメディアに執着し、ジャンルを絞るといった自ら可能性を下げることはNGです。どこでどう縁があって、取り上げてくれるか分かりませんから。
では、原稿を書いてみましょう。以下のリンク「doc_sample」を眺めつつ作業をしてみてください。サンプル通り作成すれば、WordならA4サイズで3枚~4枚に大抵留まります。
ダウンロードリンク https://monacuration.com/howto-pr/doc_sample.pdf
本文>要約>タイトルの順で作る
[解説]
読み手に対し求める情報の不一致、情報過多、冗長であるというケースはかなりあります。客観視し、無駄を削いだ部分が「要約」となり、見出しとして相応しい語句を用いたものが「タイトル」となります。本文から作ることで、より強調したい部分、最低限伝えなくてはいけない部分というのが自然と見えてきます。もし要約やタイトルで悩んだら、一旦文章をぶつ切りにして、単語だけ並べてみてください。
原則、テキストはそのまま用いられる
[解説]
掲載の場合、原稿の文章はそのまま使用されます。誤字脱字、価格や公開日など訂正は効きません。
数字の入る情報は確定させておく
[解説]
いつから、いくら、どのくらいと言った発売日や価格、内容量など数字を要求される事項は確定し入力してください。どうしてもアバウトになってしまう場合、日付なら12月中旬(予定)といった具合で保険をかけます。
画像はリサイズされる
[解説]
画像を差し込んだ状態で原稿を送る場合、画像はそのサイズのまま使用されないことが多いです。画像挿入は画像位置の指示書きであると思ってください。
画像位置と画像ファイル名称を一致させる
[解説]
情報受領者が提供者の意図を汲み取ってくれるとは限らないので、原稿内の画像名称と実際に添付する画像ファイル名称を一致させると丁寧です。
権利侵害・表記に気を付ける
[解説]
(R)マーク、TM、(C)マークなど他社の権利侵害をしていないか注意です。他社とコラボや事業提携など、固有名詞を出すことになる場合は懸念すべき事項と考えてください。
既存情報をリリースするときは
プレスリリースの掲載要件の【鮮度】で触れた事項で、初回のプレスリリースののち、追撃の手法としても有効です。例えば、既に公開中のWebサイトについてリリースするとしましょう。
- ユーザーが100人を超えた!
- サイトリニューアルした!
- 機能拡張した!
- キャンペーン延長した!
- アクセスが累計10000PV超え!
いわゆるマイナーチェンジでもOKです。何か見出しとなることを広げます。
Webサービスではなく、物体として存在する商品なら「翌月に○○○○個の増産決定!」とかでも問題ありません。ちょっと失礼な表現ですが、結構どうでもいい見出しのリリースって多いのです。ただ【鮮度】を意識するなら極力スタートと同時に越したことはありません。
原稿を知人に見てもらう
一般メディアへリリースの場合、事情を知らない知人に見てもらうのが一番です。知らない人が読んで分かるのであれば他の読者でも認識されるであろう、という図式です。また、口頭で説明を補助の必要が出たり、質問をされた箇所は読者が同じことを思う可能性が高いです。その箇所への補足あるいはそもそもその箇所を記述する必要があるか?と原点に立ち返ることも必要です。
いよいよリストアップの作業です。以下のリンクから「list_template」をダウンロードしてください。
図:送付リストテンプレート
ダウンロードリンク https://monacuration.com/howto-pr/list_template.xls
このリストのテンプレートに、配信先のメディア名称や宛先を入れていく地味な作業をすることになります。
送付先のあたりの付け方
送付先のジャンルから想定できるメディアの名称を検索します。Googleなら検索結果からニュース項目に移動しメディア名を見つける方法が有効です。
メディアのサイトを見つけたら宛先を探します。サイトマップから探すとラクです。
大抵は以下の2つです。
- 情報提供・プレスリリースはコチラ
- 問い合わせフォーム
[解説]
情報提供・プレスリリースからの送信を優先してください。問い合わせフォームのメニューにプレスリリースという項目がある場合もあります。お問い合わせフォームのメニューが限定的でなく汎用性あるものであればそこから送信してもOKです。
送信先が見つかったら
先の送付リストテンプレートの項目に従い入力していきます。
ジャンル、エリア、運営(発行)会社、メディア名、メールアドレスあるいはWebフォームURLは入力できますが、送付宛先部門と氏名が不明の場合はそれぞれ編集部、ご担当者様と入力しておいてください。
新聞社など記事が分類されている場合、(政治・経済、社会、国際、家庭、文化・芸能、スポーツ、地域への区分が多いです)あてはまる部門を指定します。見当違いの部門へ送付してもスルーされてしまいます。
[解説]
このリストのxlsファイルは、メール一括送信の際にcsvに変換して利用します。
送信先が見つからなかったら
電話でプレスリリースの送付先を教えてください、とメールや電話で直接聞いてOKです。送付部門、担当者まで聞くことを忘れないようにしてください。
原稿ファイル名、参考画像の名称の確認
原稿と参考画像の名称を確認し、その後ZIPファイルで圧縮して別途用意してください。
図:ZIPファイル内訳
アップロード
続いて、アップローダーに上で用意したZIPファイルをアップロードします。アップロードの際はパスワードの設定を忘れないでください。有効期限(自動削除までの期間)はリリースから2週間あれば十分です。
送付の挨拶テキストの準備
以下のリンクから「release_template」をダウンロードして参考に適宜作成してください。
ダウンロードリンク https://monacuration.com/howto-pr/release_template.pdf
[解説]
ダウンロードしたrelease_templateは、
- メール送信
- 添付ファイルができるWebフォーム送信
- 添付ファイルができないWebフォーム送信
の3つのパターンがあります。
メールソフトの設定とチェック
特に、BCCで送信になっているか、宛先の差し込み設定は間違っていないか、送信先が重複していないかに気を付けます。
[解説]
いよいよ送付です。
メディアへの情報提供に公平を期すため、「まとまった時間に」送付です。つまり、12/10と12/11に分けて送付や、12/10の10時と18時に分けて送信ではなく、12/10の14:00~16:00間と言った具合で可能な限り公平性に配慮してください。もちろん、Webメディアや新聞と異なり、週刊誌や月刊誌などは掲載までの期間にブレがありますが、特にこだわりがない場合は一緒に送付でOKです。
効果的な送付時間と曜日は?
掲載希望日時がある場合、3日~7日前の10:00~12:00、14:00~16:00
掲載希望日時がない場合、火曜日~木曜日の10:00~12:00、14:00~16:00
[解説]
月曜日:前週の週末に起きた事柄が記事になる傾向が高く、メディアが多忙。
金曜日:株価や営業時間に配慮した大企業のリリースが多く、記事スペースの取り合いになりがち
少しでも効果を上げるために、繁忙な曜日や時間を避けて火曜日~木曜日としています。火曜日~木曜日が祝日である場合は週末同様の理論で可能な限り避けてください。
送付を終えたら
掲載のタイミングと掲載確認方法
よほど優しいメディアでない限り、情報提供者へ連絡なく記事掲載されます。掲載希望日時がないリリースの場合、Webメディアなら1~3時間程度、遅くともリリースから48時間程度で反映です。言い方を変えると、この時間を過ぎると限りなく見送られた可能性が高くなった、という事になります。
[解説]
掲載の可否の確認は簡単です。基本的にメディアは送付した原稿をコピペするため送付した原稿の「タイトル」をGoogle検索すればよいのです。それでも見つからなかった場合、送付したメディアリストに則りチェックしてみてください。ただし編集権を持っているため変更されている場合もあります。
取材商法や広告営業が増える
プレスリリース後、取材商法や広告の営業が増える場合があります。「明日の朝刊の○○面1/3がちょうど空いていて、今なら相場よりも格安で掲載できる」といった営業は良くあります。取材商法は「こちらがお金を払って」取材を受け、発行部数の多くない雑誌に掲載されるといったものです。一般の取材の申出と錯誤するアプローチをしてきますから、「(取材は)有料か無料か」と必ず確認をしてください。
重大事象が優先される
元々掲載や放送予定であった内容も、大規模な自然災害や重大な事件が起きるとそちらが優先され見送られる場合もあります。
以上、概要と実践に分けてプレスリリースの説明でした。
ネット上でも検索すれば類似情報は転がっていますが、本書は私自身が駆け出しの頃から現在に至るまで、きちんと一定の効果と結果が出ている手法をありのままに記しています。
また、本記事は新商品やサービスのプレスリリースをする前提の記述ですが、キャンペーンの延長、商品増産のお知らせなどあらゆるリリースへ応用可能です。
貴社または貴殿に、よいご縁が生じる事を心からお祈りいたします。
お仕事のご連絡、お待ちしております。
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