シェアハウス構築と暗号通貨生活の体験レポートと総括(1/2)
まずは、この3週間お付き合い頂きありがとうございました。
改めて御礼申し上げます。
既に過去記事にも触れた通りこの企画は、
- 「暗号通貨界隈の人を迎え入れられるシェアハウス(のようなもの)はできるのか」
- 「暗号通貨だけで本当に生活できるのか」
この2つをテーマとした1つの社会実験の場でもありました。
それをバラエティ番組の如く、企画・構成・出演とすべて私が兼ねた次第です。
初めて触れる事かも知れませんが、実は元々「暗号通貨界隈の人を迎え入れられるシェアハウスってできないだろうか」と家主の煮るバナナ氏と酒の席で話したのがきっかけです。
のちにモナハウスと呼ばれるその物件は、当時居住(入居)者がおらず、活用方法を彼が模索しておりました。
「モナコインに限らず、暗号通貨に関する活動をしたい人を迎え入れたい。複数名が集まり、何かプロジェクト発足、起業の拠点にできればベスト。」という彼の思いを形にすることはできないだろうか、と思案。つまりはモナハウスに皆が興味を持つ手段を検討しました。
そこで初めて「暗号通貨生活」を閃き、簡単な企画書を煮るバナナ氏に送付。
のちに一度ロケハン(下見)を行い、彼と私で協議し、「(冒頭の)この2つを社会実験の場として皆さんへお届けしていこう」と今に至ります。穿った表現ですが、暗号通貨生活は後付けで、皆さんの興味を引く手段の1つであったことを白状します。
事前に、面識のある或いは企画遂行上で不可欠とされる事業者様・サービス提供者様にハウスキーパーと暗号通貨生活の企画概要を送付し、秘密裏にお声がけさせて頂きました。
もちろん、他にも面識のある事業者様・サービス提供者様はおりましたが企画中に話題として挙げにくいところは、こちらからの一方的なお願いとなり得る(メリットを提供できない)ため、お声がけを見送った、という事情です。他意はありません。
各方面でお声がけした事業者様・サービス提供者様に快諾を頂き、企画発表。
その後、多くの方からご賛同・ご協力頂いたのはここまでの記事の通りです。
実際のところ2つの企画は同時並行で進行していますが、この記事ではこれまでの3週間にわたった体験談を、この2テーマを分けてお送りします。
そして本日は「モナハウスキーパー」の体験レポートと総括をお送りします。
「モナハウスキーパー」の体験レポートと総括
ロケハンでは、間取り、設置済みの家電、設置済みの家具、設備、既にモナハウスのアカウントへ提供いただいた贈り物の確認。
物乞い行為を勧めたわけではありませんが、実際「今後皆で使う」もので優先的にあった方が良いものを煮るバナナ氏と協議。この時点である程度欲しいものリストの更新がされました。
ただこれは、贈り主からのご厚意に左右されるため、企画に組み込むには不確定要素の強いものです。従って、無いもの=日用品など生活必需品は用意もしくは調達が不可避です。
話を戻しますが、ロケハンで確認できた家電と設備は、暖房・洗濯機・水道・ガス・冷蔵庫・トイレ・湯沸かし器。
暖は取れ、食料の保存、排泄、入浴が可能です。
詳しくは暗号通貨生活で触れますが、食料の調達さえできれば生存可能な環境ではあります。
しかしながら、洗濯機であれば洗剤がない、キッチンであればスポンジや干し場がない、トイレであれば清掃用品がない、といった「あるべきもの」が不足していると大雑把に把握。
故に、最寄りのイオンモールで調達をするという前提でハウスキーパーはスタートしました。
おおまかには、この3週間は以下のような段階を踏みました。
日常生活を過ごせる環境構築>シェアハウスとしての環境構築>暗号通貨界隈の方が利用できる環境構築、です。
入居当日、つまり0日目の夜の話ですが到着早々にツイキャスをしました。
持参した最低限の荷物もその中でさらに使うものだけを取り出し、その日の夜を過ごしました。
この夜は「毛布しかない」ことも承知の上でしたが、まさか雪が降り室内の気温が想像を超えて低くなることは正直誤算でした。
翌日。
別室にあったアルミラックを寝床の近くへ移動。
そこへ自身の荷物を置き、ままならない食事を挟み日常生活の開始です。
まずはハウス内を巡回し、私が使うエリアの策定。
その際、先述の「あるべきもの」が発覚次第、ふせんでメモを作り、100均で調達するものをメモしていきます。
ロケハン直後のシミュレートはあくまでシミュレート。調達が必要な物資一覧を見て、この時点でようやく、
日常生活を過ごせる環境構築>シェアハウスとしての環境構築>暗号通貨界隈の方が利用できる環境構築、と大まかに業務設計し、日常生活を過ごせる環境構築が最優先となりました。
3日、4日もすると100均や通販で調達した物資も続々と手元に揃い、ようやく自己の生活圏の確保ができた実感が湧きました。
届くたびに、使う場所へ設置。そうすることで生活圏の拡大拡充が図れていったという感じです。
調達した物資にはハウスで共同利用する備品も多く含まれます。
入居しているのは私だけなので実質的には占有であるものの、備品・共用物と私物の線引きはしなくてはなりません。
そこで、追々で他の方が入居あるいは利用する際に、気兼ねなく、誰かに確認をすることなく使用できるようにシールを貼ることとしました。
参考画像:赤いシール
このように、赤いシール(あるいはモナハウスの名前の入った赤いテプラ)が貼られたものはハウスの備品・共用物として使用できるようにしました。
また、複数名が利用し始めると必ず元の位置に戻さない人、という方が出現する想像もつきます。
従って、備品・共用物は固定位置や保管場所を定め、ネームシールを貼り視覚化することとしました。
参考画像:固定位置のラベル(この場合は文具など)
固定位置や保管場所にも工夫をしました。
例えば、掃除機は中央の廊下に置くことで左右どちらの入居者でも使える位置にしたり、風呂掃除の道具は最寄りの位置へ備え付ける、消耗品もその位置で使う事を念頭にすぐに補充できる箇所へ配備しました。
元々ハウス内には収納ケースなども含め、家具は豊富に揃っておりました。
しかしこれは元の居住者の生活の名残であり、シェアハウスとして活用するには不便な位置のものもありました。
原則として家主の意向に沿いましたが、詳細のレイアウトは私が任されています。
そのため、配置転換する際はメジャーで測定し家具の一時退避、解体、清掃、移動、組立の繰り返しです。
参考画像:2段ベッド2セット
画像には映っておりませんが、ベッドの枕元(もしくは足元)には電源があります。
実際に利用を想定した配置を行っています。
このような作業を繰り返す事で「モナハウスの使い方」という規定…いや共同生活をする上での最低限のハウスルールの草案が浮かぶようになりました。
以下は、その草案の一例です。
*ハウスの利用者間でヒト、モノ、カネのトラブルは作らない(劣悪な人間関係の回避)
*使ったものは決まった場所へ元に戻す(紛失の抑止、快適な利用)
*ハウス内だけでなく、近隣の方に迷惑をかけない(ハウスの維持)
*インフルエンザなどの流行病に罹患した際は直ちにハウスの利用者へ報告をする(集団感染防止)
といったあくまで最低限のお約束レベルの話です。
さらに、モナハウスならでは問題もありました。
Twitterをきっかけに利用する方も想定できますから、つまりは双方がアカウント名しか知らないといった事態に陥ります。匿名性を保ちつつ、シェアハウスを機能させるというものです。
もっとも、これについては郵便物やAmazonなどの通販の授受くらいではありますが、万が一、その他のトラブルが起きた場合にどこまで匿名のみで管理が行きわたるか、というのも少々懸念事項として残ります。
家主、ハウスキーパー、入居者の時間軸も異なります。共通の連絡事項やスケジュールを共有するため、試験的にtrello(トレロ)を利用してみました。外出先でもスマホから閲覧・入力可能、トピックの設定をすることで時間を選ばないコミュニケーションを図る方法などの条件を定義し、他の入居者が探してくれてこれにたどり着きました。
参考画像:モナハウスのtrello(実際はこの画面にさらに燃えるゴミの日などゴミ処分の曜日が入りました)
洗濯機も2台ありますが、自動乾燥機能がついているのは1台のみで実質コチラをメインに私も他の入居者も使いました。そのため、利用の際にはあらかじめ時間を予告や、今使って大丈夫か、との声掛けもしています。
さて、気になるプライバシーへの配慮ですが、これは現時点で利用者が私と他の入居者の計2名で、それぞれの動線と部屋が玄関を入って左右に分かれるためおおよそ影響はありませんでした。
ただ、運用はシェアハウスと入居者次第です。
どちらが良し悪しというわけではなく、プライバシーのあまり無い環境を許容できる方、何らかの事情で許容できず個室を望む方、とそのシェアハウスの色や特性が出る部分であります。
但し、個室として使える右側の洋間、暖房効率を上げる為だけにシャワーカーテンを設置したドアの無い脱衣場、入浴中の貴重品管理や後述の電子機器の保管の観点からも施錠、暗証番号を任意設定できるロッカーなどは必要と家主と協議しておりました。
参考画像:ダイヤル式の番号任意変更できるロッカー
暗号通貨となりますと、お金を直接扱うことと同義です。
したがって通常のシェアハウスよりセキュリティに配慮しなくてはなりません。
先のロッカーの設置や、個室利用できる箇所への鍵のかかるドアノブ変更など手を加える箇所はかなりあります。ログを取ったり、場合によっては入口に監視カメラなども案としてありました。
そして実のところ、予算・スケジュール・諸般の事情で実行に至れなかった箇所が大分残っています。
しかしながら、その中で試験的に導入或いは進捗、草案という意味でここに記します。
スマートロック
画像:セサミ正面
スマートロックはドア扉自体に内蔵しているタイプ、ノブ交換して後付けするタイプ、そして既存のドアへ取り付ける外付けタイプとありますが、今回(ハウスへの贈り物として)用意されたのは最後の外付けタイプです。ドアの内側のサムターンへ噛ませて取り付けます。
このセサミの優れているところは、スマホアプリで施錠・開錠でき、ユーザーごとに設定できること。例えばAさんとBさんが利用していて、Aさんがハウスを退去したとします。AさんとBさんはそれぞれ異なるユーザーIDを振られているため、AさんのユーザーIDを削除することでAさんは今後施錠と開錠は不可能となり、Bさんは従来通り使用できる、ということになります。従来通り物理鍵で開くこともできますし、スマホアプリのみで開くこともできます。
また、一時的にゲストIDを振ることも可能です。
尚、通信は内部的にはBluetoothを利用しています。
Wifi環境
ハウスには光回線を導入しました。
回線の申し込みをした方はご存知だと思いますが、申込をしてから工事日までには結構な日数を挟んでしまいます。実は企画発表前から家主の煮るバナナさんが手配してくれましたが、開通は2/8となります。
画像:ONUと無線ルーター
無線ルーターはTP-LINK製。接続する端末を指定できるだけでなく、ゲストIDの付与などユーザーの棲み分けが出来ます。
このルーターは導入前に技術者の方から「そのスペック、ネットワーク環境であれば大丈夫」とのコメントを頂いたので開発者の方も安心して利用できる環境だと思われます。
暗号通貨生活の予算(事実上ほとんど食糧)を除き、ハウス内の備品は家主が負担でした。
私が都度100均で調達(日本円払い)した際のレシートを家主へ添付しDM。
その額に応じたMONAを家主が私へ都度送金される、というやりとりでした。
参考画像:実際に画像送付したレシートの1枚
一時的な立替も、その場で送金することで即時精算できるのも暗号通貨の利点です。
これは「暗号通貨生活の予算外から」私が缶コーヒーを購入し、お試しでやってみたことです。
60円の缶コーヒーを冷蔵庫へ保存し、他の入居者が取って飲む際は掲示されている請求額登録済みのMONAのQRコードを読み取り(仕入で支払った私へ)支払う、という具合です。
参考画像:取ったらそのたびに支払うQRコード
需要の高い日用品や保存の利く食料をハウス内で常備し、利用者が取り出す際に都度支払う事も出来るのです。
もちろん性善説ではありますが、数量が合わない場合は先述のtrelloにて警告を発することもできます。
最終的に、在庫管理まで集約しモナ文具さんなどへ自動発注などできれば理想です。
このような暗号通貨”っぽい”試みは幾つも案として蓄えています。
モナハウス(千葉)の課題というか、問題はロケーションです。
近くにはイオンがあり、10F建てのマンションの最上階且つ角部屋であり、記事内でここまでで触れた通りインフラ、物資も揃っており住むには快適です。
ただ、いざ千葉ニュータウン中央駅までと検索すると…北総線の運賃が高く遊びに行くことや入居希望を断念した方も結構いるかと思います。
(さらに企画中は私が来訪可能な日時を絞ったという委縮せざるを得ない点もあります)
一応補足しますと、北総線の運賃の問題は、京成線とJR線の乗り入れがあり、それぞれの初乗り運賃が重複しているために起きています。
逆に言うと、モナハウスの問題はそのくらいです。
一方で俯瞰してシェアハウス全体の課題を述べるならば、利用者間の秩序維持・防犯・衛生管理・入居者の目線に立って物を揃える・並べる事であります。
そして何より開放的であるか、であると私は感じます。
シェアハウスの検索サイトもありますが、入居条件が厳しい場合もあります。
シェアハウスが日本でここまで流行った理由は、ビジネスホテルなどの外部宿泊施設の料金体系や、職場が常に可変する或いは場所を選ばないノマドスタイル、固定資産を持ちたくない、持てない金銭的事由など現代の若い世代を中心とした現役世代の心理と状況がマッチングしたからであると考えます。
また、互いに過度に干渉はしないとは言え、団体行動の1つでもあります。その側面からも、社会性と社交性を備えたコミュニケーションの場としても現代らしい施設、そう私は思います。
住めば見えてきます。掴めます。
以上、シェアハウス構築の体験レポートと総括でした。
明日のシェアハウス構築と暗号通貨生活の体験レポートと総括(2/2)につづく。