22.「モナコイン/モナーコイン/MonaCoin」(その2)
MonaCoin第2回目です。
「初期MonaCoin仕様」について解説します。
なお、今回、紹介する内容は2017年6月現在のMonaCoinとは互換性がありません。
では、なぜ公開するのか?
皆さんがWebを巡回して入手した情報が、
「初期MonaCoin仕様」を前提に語っているのか
「現在のMonaCoin仕様」を前提に語っているのか
を判断出来るようにする為です。
昔話のひとつとして、読み流してくださいませ。
■初期MonaCoin仕様と、現MonaCoin仕様の境目
境界線は以下です。
初期MonaCoin仕様:
・v0.8.7.1 以前
・PoW(scrypt)
現MonaCoin仕様 :
・v0.10.2.2以降
・PoW(lyra2REv2)
■「scrypt」と「lyra2REv2」
PoWは数当てゲームです。
「scrypt」と「lyra2REv2」は計算式が違うだけ。。。
のように見えるのですが、実は一つ、大きな相違点があります。
「scrypt」は、メジャーなアルゴリズムです。
「lyra2REv2」は、採用コインが少ないニッチなアルゴリズムです。
■初期MonaCoin仕様は、サービスが作りやすかった
「scrypt」陣営には、LiteCoin/DogeCoinが所属しています。
これらのオルトコインは世界的に人気が高い為、GitHubに公開されるコードのほとんどに最初から組み込まれています。
極論を言えば、プログラムをダウンロードしたのち、
「LiteCoin」の文字を「MonaCoin」に置き換えるだけで、
簡単にサービスを立ち上げられました。
そういう時代でした。
■初期MonaCoin仕様は、ASICも利用できていた
2015年8月の時点で「scrypt」にも、いくつかのASICが存在していました。
ASIC所有者は、主にLiteCoinをターゲットとしていました(おこぼれ マージマイニングとして、大量のwow DogeCoinも採掘されました)
気が向いた奇特な方が、時々「MonaCoin」をASICで採掘する。
そういう時代でした(懐古主義)
■きっかけは2015年8月、LiteCoinの半減期
2015年8月、LiteCoinが初の半減期を迎えます。
LiteCoinのブロック報酬が半分になったので、収支利益が
MonaCoin = LiteCoin
になりました、なってしまいました。
収益UPを求めたASICが所有者がLiteCoin永住をやめ、MonaCoinも採掘を始めます。
ランダムなタイミングで!
その結果、モナコインのDifficulty計算が滅茶苦茶になってしまいました。
■ASICがときどき迷い込むと、Difficultyはどうなるのか?
お題の難易度調整=「Difficulty」
<1問あたり制限時間10分です>
第1問:
1+1は?
→回答に1秒かかりました
第2問:
11+1は?
→回答に2秒かかりました
※ここでASICが迷い込む
第3問:
11+11は?
→回答に0.01秒かかりました
第4問:
123456789×123456789は?
→回答に10分かかりました
※ここでASICがいなくなる
第5問:
987654321×123456789は?
→回答に6時間かかりました ★大幅遅延発生!
※再びASICが迷い込む
第6問:
1+1は?
→回答に0.0001秒かかりました
※また、ASICがいなくなる
第7問:
987654321×123456789は?
→回答に6時間かかりました ★大幅遅延発生!
こ れ は ひ ど い
■ワタナベ氏、ハードフォークを決意
ASIC対策をしなければ、MonaCoinは安定した送金ができない所まで追い込まれました。
いろいろありましたが、最終的に「lyra2REv2」へのハードフォークが決定。
更に「Difficulty」アルゴリズムをDASHで採用された「Dark Gravity Wave」に変更。
「Dark Gravity Wave」は、難易度が上がり難く下げ易いという特徴を持っています。
ハードフォークの結果、MonaCoinのブロックチェーンは安定しました。
半面、ライトコインのサービス流用が出来なくなったため、それまで運用していたサービスを畳んでしまうサイトもいくつか出てきました。「跡地」の中には「初期MonaCoin仕様」によるサービスの作成ノウハウを公開したまま、存命しているサイトもあります。
■見極めのポイント
「scrypt」の文字が見えたら「初期MonaCoin仕様」
ーーー
次回は「現MonaCoin仕様(※2017年7月当時)」についてです。
23.「モナコインモナーコインMonaCoin」(その3)へすすむ